「ソロアルバムを創りたい」
と言い出したのは2000年の秋でした。
僕はこれまでずっと、バンドと共に音楽を創り上げてきました。
今頃になってなんでこんなことを言い出すのかおかしな具合なのですが、
別にバンドが嫌になった訳でも、ソロ歌手に憧れた訳でもありません。
ただ単に
「自分が自由に創ったもの」
をやってみたかっただけの発想でした。
「ホナ、少年倶楽部でやってんのは自由やないの?」
と言われそうですが、それは、ソヤナイのです。僕の考える
『バンド』
というのは1+1が3であったり、2+2が6になったり。
手前味噌ですが少年倶楽部のように5=10でも5=20にでもなる可能性が
あると思ってます。そんな有り難いBACK
UPの中でズーっと生きていると、
自分の創った曲や歌の力がどの位あるのか判らんようになってしまうのです。
勿論そのままでも良かったのですが、50歳になるのを機に、
イッペン自分を試してみたいと言うのがあったのでしょう。
まずは、どんなアルバムを創るにしてもセルフプロデュースであること、
これは、今までの少年倶楽部と一緒。ただ誰にサウンドプロデュースをして貰うかで
イメージが随分変わります。
試行錯誤しながらマネージャーと話していると、
「謙さん、いっその事Nashvilleでレコーディングしたら」
と思い掛けない発言。しかし考えてみると国内でレコーディングすると、
そのメンバーは少年倶楽部が中心となり、結局は少年倶楽部のアルバムに
近いものになる。それではソロでやる意味も無いやないか。
マネージャーにしてみればいくら自分が付いて行きたかったとは言え、
素晴らしい発言でありました。
そうなるとアシスタントプロデューサーはNashville事情に詳しい宮崎勝之。
メンバーは彼が集めてくれるミュージシャンでと話が動き出しました。
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エライモンです、やっぱりどんな無謀に思えるようなことでも、
物事には
『ツボ』
みたいなもんがあって、そこを押してやると堰を切ったように
色んなことが噴出し始めるのです。
例えば僕と宮崎の日程が空いて入るところにスタジオの日程が合致したり、
なにより宮崎の
「希望のミュージシャンありますか?」
「同じやるにゃったら若い頃から憧れのバイロンバーラインとビルキースがええなぁ」
(二人ともナッシュビル在住では無いのでちょっと無茶言うたみたい)
が何日か後にはOKが出たり、
人間やると決めたら何とでもなるもんです。
僕の準備は結構早い目から出来ていました。選曲だけですが。
「向こうのミュージシャンは作業が早いですよ」
とは聞かされてはいるものの、今度は僕のオリジナルばかり11曲。
ご存知の方は判ると思いますが、カントリー・ブルーグラス系はあるものの、
民謡調から歌謡曲調まであるものを
「どないして理解してもらうの?」
「デモテープ作って送りましょ。」
「あんまり詳しいの送ったら、そのままコピーして弾かはるのんとちゃうか?」
「そやし、あんまり細かいとこまで録音せんと送りましょ。」
「そやな、後は彼等のインスピレーションに任そか。」
ええ加減とも思えるほど完璧な二人のプロデューサーなのです。
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今回のアルバムには何曲か
『琴』と『リードオルガン』
の音色が入ります。
僕の義妹
『渡邉 裕子』
が演奏をしてくれるのですが
まさか1〜2曲の為にお琴とオルガン持って渡米することは出来ません。
彼女には
「このアルバムがグラミーを獲ったら、その時は一緒に行こうネ」
で納得して貰いました。
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3月15日・16日、京都の上御霊神社近くのスタジオでお琴の音録が始まりました。
ここにはナッシュビルで使用するのと同じ機械があり、とても都合は良いのですが、
編集用のスタジオなので
『狭い』
のです。どのくらい狭いかと言うと、無茶苦茶狭い。
例えて言うと額の狭いネコですらその居場所を探す。
もっと言うと
「宮崎さん!マンドリンをマイクから2cm離して下さい」
「スミマセン後ろが壁でさがれません。」
くらい狭い。
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お琴立てたら天井との隙間、僅か1cm。天井も低い。
お琴の時は、まだ良かったのですが、リードオルガンを石橋にある教会から
借りてきてこのスタジオに入れた時には、
それはもう鼻の穴にドッジボールを入れるような騒ぎでした。
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けど僕らは頑張りました
「行く手にはナッシュビルの青く広い空が待っているのだ!!」
この狭いところで録音を終えた裕ちゃんにはとても気の毒なので、
お土産くらいは買ってくることにいたしましょう。
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ともかくお琴の音の入ったCD-Rを持って4月1日から16日まで
僕と宮崎はナッシュビルへ向かいます。
えっ。言い出しっぺのマネージャーはどうしたのですかって?
もちろん、一緒に御留守番です。裕ちゃんと。
この続きは帰国後です、お楽しみに。
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