謙さんのNASHVILLE紀行

2001年4月1日(日)12:42分堅田発姫路行き新快速。
いつも乗り馴れた電車ではあるが、今日は大阪では無くナッシュビルに
向かって走っている。4月1日だけにウソみたいである。
家からJR堅田駅までは娘の菜々子が送ってくれた。少々時間があった
のでMr.ドーナツでコーヒーを飲む。一緒に付いて行きたそうな娘に、
しみじみと思い出話しを聞かせた。
「お父さんは高校時代にブルーグラスという音楽に出会い、君ぐらいの年には
アメリカに行きたくって仕方が無かった。今やっとそれが実現して
憧れのアメリカへ行くばかりか、自分の音楽を持って行き、それはもう
神様のように思い焦がれていた二人のミュージシャンとレコーディングが出来るんだ。」
「幸せ?」
「幸せかどうかは判らないが、兎に角今は長年追い続けていた夢が
そこにある。」
きっと娘には、目を潤ませて話す父親がいつもと違って
映ったのだろう。娘が
「良かったなぁ。」
と言ってくれた。
堅田駅のホームで手を振る娘。何年か前に、彼女のニュージーランド
出発を、見送った時の気持ちを思い出した。

新大阪で宮崎勝之と待ち合わせ。
結局、彼の妻でマネージャーの宮崎千秋も同行することになった。
関空に付くと、昔からのポン友で宮崎の先輩、シャン石川が待ってくれていた。
彼は航空関係の仕事で、常に関空にいるのだが、この日は休みにも関わらず
わざわざ岸和田から出てきてくれた。
ヒマな、いやいや良い友人である。

シャンに昼御飯をゴチになり、いよいよ搭乗口へ。忘れていた飛行機嫌いが
顔を出し始める。アメリカン航空ダラスフォートワース行き17:40発の予定。
シャンが岸和田弁で言うには
「AAはよう遅れることがあるんやし。」
を聞いてはいたが案の定18:15になって
「遅れておりますアメリカン航空ダラスフォートワース行き17:40発の
正確な出発の情報は30分後にお知らせできます。」
とのこと。
「まぁ、しゃーないなぁ。歩いて行く訳にいかんにゃし。」
30分以上経って19:30
「出発は21:00になります。」
「えぇ〜そんなん早よ言いな。アメリカかて僕が行くの待っとんにゃで。プリプリ」
「皆様方に軽い食事の御用意が・・・。」
「割に親切な飛行機会社やないの。」
待ちくたびれた怒りは菓子パン2個とオレンジジュースで簡単に治まる。
しかし空港のロビーで、大勢がパンを食べる姿はどこかしら難民の
ようでもある。21:00になると今度は
「故障した部品を羽田から取り寄せているところです。」
「まあ潰れたまま飛ばれることを思うとその方が安心はできるなぁ。」
ひとの噂では
「機内食を配りよったら今日はフライトする気がないんやで。」
そこへ2回目の食事の案内
『鮭とほたてのわっぱ飯』
前に居たインド人の子供が食べられんで困ってる。
「そら、食えんわなぁ。」
その後も、あと10分で、もうあと15分で、を繰り返し、23:23本日の
フライト中止。中には本気で怒って乗務員に詰め寄る人も居ました。
その人も、そんなこと言うても無理やとわかってはいるのに・・・。
そやけど、AAの人に教えてあげたい。そらそんなに上手いことはいかんかも
しれんけど、
「今日はフライトできない可能性がある。」
を先に伝えておいた方が、心情としてはええノンとちがうやろか?ちょっとずつその場の
言い逃れをして、言い訳が積み重なってしまうから、その分みんなも腹が立つ
とぼくは思うのです。時には人の気持ちも研究して下さい。結局、本日は
日航ホテルに泊まるはめに。パスポートには本日出国、本日入国、日付けは
4月1日。ウソみたい。

このおじさん操縦が上手そうやったのに・・・

一夜明けて、今日は朝からいい天気、フライト日和かどうかは、操縦した
ことがないのでわかりません。朝6時半から起きだして朝食。カリカリの
ベーコンと苺ジャムをたっぷりトーストに挟んで食べる。これが実に旨い。
隣に座ったアメリカ人らしき人は
「そんなもん喰ってたらふとるぞー。」
みたいな顔してこっちを見ている、そのおっさんはコーンフレークに
バナナを乗せ、ミルクかただけのダイエット食。しかし、そのおっさん
の体はゆうに僕の2倍はある。ダイエットと言うのは難しいにゃねぇ。
アメリカの食事はどんなんやろう?これに関しては全く先が見えてこない。
今日の飛行機はAAから11:25発JALの30便に変わった。行き先も
ダラスフォートワースからシカゴオヘア空港に変更。僕はどっちでも一緒、
恐いだけ。搭乗を待っていると
「一寸、煙草いってきてもいいですか?」
と宮崎。
「不便やのぅ。」
一人で待っていると、人の良さそうなアメリカ人が
ぼくのバンジョーを見て
「あんた、Bluegrassやってんの?」
と気さくに声を掛けてきた
「Fes.にいくの?」
「ちゃう、レコーディングや。」
「へぇ。」
「バイロンバーラインとビルキースと一緒にやるねんで。」
「ほんまか!ぼくBILL KEITHのBanjo大好きやねん。」
注)英語で書いてあるところくらいしか理解できていない。
このおっさんブルーグラスのことちょっと
知っトルなと思ったので
「Do you know KATZ MIYAZAKI ?」
ちゅうと、ちょっと考えて
「マンドリン弾く人やろ。」
このおっさん知っとるがな。そこへ宮崎。おっさんえらい喜んで
「ガンバリや」
言うて飛行機に乗り込みよった。
宮崎もエライモンである。そして、おっさんはファーストクラスへ僕らは・・・。

  次回もおたのしみに。 NASHVILLE紀行2へはここをclickして下さい。

恐いと思うから恐いンや!窓から景色でも
見てたらずいぶん気も紛れ・・・ヘン〜!!