謙さんのNASHVILLE紀行14  

今夜はVASSAR CLEMENTSを聴きにStation innへ。中に
入るとオーナーのおばちゃんが「昨日はとてもfantastic
だったわよ〜。」とまた誉めてくれました。宮崎と並んで
座っていると、一人のじいさんが僕の前に来て「やあ元気?
久しぶり!」と握手をしてきました。宮崎に「誰?この
オッサン?」「知らん。」オッチャンに「何処で
逢いました?」「う〜ん何処やったかなぁ?」確かにどこか
見覚えがある顔です。「土曜日に僕らの演奏を聴いた人や」
「イヤ、僕は土曜日はここに来てない。」「ほんなら、何処で
見たんやろ?」そしたらこの人もエゲツナイことを言いました
「僕の勘違いかなぁ。まぁええわ、僕の名前は
BILLY RAY LATHUMチュウテネ、昔Kentucky Colonels
チュウBandに居たンですわ。」ドヒェ〜〜〜!!さあ、
エライコッチャ!!どっかで見たはずや!!このオッサンが
ホンマもんのBILLY RAYやて〜!!失礼しました。宮崎!
どないするねん。とりあえず一緒に写真とっても貰おか。
訳の分からん日本人です。けどニコニコ笑って写真を撮って
くれはりました。すんまソン!!

二十数年ぶりに見たVASSAR CLEMENTSは増々磨きが掛って
とても素晴らしい演奏でした。演奏が終わって
「Nice meet you again !」と挨拶すると「日本に行った
時に逢いましたねぇ。」等と調子のよいことを言ってました。
お茶目なおじさん、いやおじいさんでした。

残念なことに2005年8月16日VASSAR CLEMENTSは
帰らぬ人となってしまいました。
ご冥福をお祈りします。

いろんな事があった休みが終わって体も心もリフレッシュ
さあ、recordingも大詰めです。今日は朝から『遥か』
『地平の彼方』『夢見た街』にスティルギターを入れる日です
ホテルを出るのが少し遅くなり、僕らがスタジオに着いた
のが10:05ぐらい。ドアを開けるともうすでにスティルの音が
聞こえている。BRENTに「ゴメン遅なって!」「OK !OK !
大丈夫もう録音してるから。」ホンマにこの国は仕事が早い!
1曲目があっという間に終わってブースの中でTOMMY WHITE
に御挨拶。ゴッツイからの人で、楽器が小さく見えます。

この人に付いてあまり書くことが出来ないのは、3曲を
あっという間に済ませて風のように次のスタジオに行って
しまったからです。スティルギターを組み立てたまま車の後ろ
に積んで・・・。ナンカ物凄く忙しそうな雰囲気でした。
それでも忙しいからと言ってよいかげんな演奏は決して
しません。「こんな感じで・・。」とイメージを伝えると、
しっくりくるまで弾いてくれます。ただそのイメージを掴む
のが物凄く早いのです。それともう一つ面白かったことが
あります。『夢見た街』のブレイク前のフレーズを指定した時
です。僕の思うフレーズを、僕らが日本で録音する時のよう
に「そこのフレーズはタラタラタラタラタラタラタララ〜ン
と行ってくれるか?」などとBRENTに口で説明したのです。
さあ、アメリカではどう説明するのだろうと思っていると
BRENTがトークバックボタンを押して「TOMMYブレイク前の
フレーズ、タラタラタラタラタラタラタララ〜ンと行って
くれるか?」なんややっぱりこっちでも一緒ナンヤ!
スティル騒動がひと段楽して午前中に2曲歌を入れました。
「お昼御飯はホットドッグが食べたい!」とだんだん馴れて
きてわがままを言う僕。「ちょっと遠いけど行きますか!」
とBRENT。着いた先は大きな道路沿いのホットドッグスタンド
車に乗ったままで駐車場からマイクで注文すると窓のところ
にテーブルを引っ掛けてくれる、例のアメリカ映画でよく見る
スタイルの店です。僕らは車を降りてキャンプで使いそうな
テーブルに腰掛けて食べることにしました。

ナンヤカヤと注文して支払いの時に「BRENT、今日は僕が奢ってあげる。」と
言うと彼は「なんで?」と聞くのです。こちらでは世話に
なってるからとかそう言ったことで奢ったり奢られたりが
あまりないようです。そしてこうも言いました。
「せっかくrecordingをreasonableな金額にしようと努力
しているのに、要らんところでお金を使わないように。」
正にその通りです。勉強になりました。で、ここは僕が払う
ことになりました。するとBRENTが「じゃあ、食後のデザート
は僕が奢ってあげるから皆でアイスクリームを食べよう」
「ヤッター!!」なんのこっちゃ。僕はバニラ。宮崎は
ストロベリー。BRENTはチョコレート。みんな
「1番小ッサイヤツぅー!」といって頼んだのにどう見ても
「ものすご大っきいやつぅー」です。宮崎と顔を見合わせ
「奢ってもろたんやし、最後まで食べんならんにゃろなぁー」
と必死で食べました。噂通りアメリカのアイスクリームは
抜群に旨い!!けどゴッツイ!!!「あとどのくらい?」
「もう、だいぶ食べましたよ。」「オレ、もうちょっと。」と
頑張ってると、BRENTが「もう、食べられへん」と半分くらい
残しました。奢ってもらったから残さず食べようとした僕ら
二人の努力を踏みにじられた瞬間でした。
教訓、美味しいものも量を過ごせば決して美味しくない。
ただでさえ食事をすると声の出がよくないのに、食事の上に
テンコ盛りのアイスクリームで歩くことさえ困難な僕は、
Banjoを入れることにしました。『また逢いましょう』の
Clawhammer Banjoやっぱり空気が乾燥しているので楽器も
よく鳴っているようです。その後、宮崎のマンドリンを録って
今日はおしまい。

作業は順調に進んだのでありました。「ゲップ〜!!」

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