謙さんのNASHVILLE紀行19  

いよいよレコーディングも最終日となりました。
長かったのか短かったのか?BAYRONやBILLと一緒に居た
のがもう1月以上も前の事のようにも思えるしstation inn
で唄ったのが何週間も前の事のように思えます。
ここで博学の謙さん講座。
年を取ると時の経つのがが早く感じられます。青春時代。
例えば中学時代の3年間や高校時代の3年間はあんなに
長かったのに、30過歳ぎて気が着いたらあっという間に
40歳になっていたと言うのをよく耳にします。40歳過ぎたら
50歳まではもっと早いとも。これはどうやら人間の記憶と深い
関係があるようです。学生時代はまだまだ経験も浅く大人と
同じように社会を見ているようでもその周りには知らない事
だらけ、経験した事のない物だらけなので、いちいち何かに
付け「なるほど。こんなふうになっているのか。」とか
「こんな時はこうするのか。」と引っ掛かって行くのです。
ですから時間の流れも必然的にゆっくりの様に感じるのです。
知らない町へ行く時に行きはいろんなものを見ながら(経験
しながら)行くので時間が掛ったように思うのですが、帰りは
案外早く感じるのも同じ理屈です。車の免許を取った時20分
も30分も掛って行った場所に、馴れた今では5分ぐらいで行けたりするのも同じ事と言えるでしょう。すなわち、僕は
NASHVILLEで初めての体験ばかりをしまくったので、まるで
青春時代のように時間がゆっくり流れたのです。(この年に
なってまだ未体験の事があったのに驚かされていますが、
そんな気分で毎日を生きて行けば人生を長く楽しめるのでしょう。)そんな事を思っているうちにBRENTは最後の曲をMIXし
終わりMASTER のCD-Rを焼きに掛りました。
僕が日本を出る時に口酸っぱく言われたのは
ひとつ、MASTER CDは品質の良いものを使う事。
ひとつ、扱いは慎重にする事。
ひとつ、くれぐれも番面を汚さない事。
でした。親切に上等のCD-Rを持たせてもくれました。
そのCD-RをBRENTに渡すと「こんな上等は勿体無い!」
「いや!安モンに焼いて音がおかしなったらカナン!」
「そんな事はない!何時もここにある50枚入りのやつで
やってる!」「もしもの事があったら困るからこっちで
焼いてくれ!」「イヤ、勿体無い。」としつこくやり合って
いました。ちなみに日本から持って行ったCD-Rの値段が
1枚¥300円程ですからそんなに言い合う程の事でも
ないと思うのですが・・・。最終的にBRENTが折れて
ようやくMASTERを創りはじめました。焼けるまでの時間は
結構退屈なもんです。ちゃんと音が入ってさえいれば良い
のですから。BRENTもようやく解放されたようで
ポテトチップスなんかを食べ始めました。何となく嫌な予感が
していたのですが、その予感が見事に的中しました。
「MASTERが出来たよ〜。」等とイイながらポテトチップスを
食べていた油の手でCD-Rを取り出そうとするのです。これは
日本では考えられない行為であります。番面を汚すと
MASTERING(各曲のボリュ−ムを決めたり音圧や曲間を
決める)の時にちゃんとデーターが再生できない事があると
言う理由です。(日本のミキサーの話です。)それを聞いて
た僕は「ちょっと待った!!手ェ洗うてから触ってんか!!」
と言いたかったのですが時既に遅し、BRENTは油の手を
Tシャツの胸の処で擦っただけで無造作にCD-Rを掴み、案の定
番面に油の指紋を付けたのです。「あ〜ぁ。」次の瞬間!!
彼はその指紋に気付き「アララ」等と言いながらその指紋を
Tシャツで拭いていました。僕は気が遠くなりましたが
「この人等、いつでもこんな感じでやったはるんや。」と
思うと変に気が楽になりました。実際には何の影響も無かった
のは言うまでもありません。これからNASHVILLEで
レコーディングしようと思っている方。大らかな気持ちで
望んで下さい。ハイ。
なんとかCDーRも出来上がりお待ちかね精算です。彼はノート
を取り出し紙に書き写しています。何とこれまでのスタジオの
使用時間を事細かに書いています。朝10時に開始して夕方
7時までですから1日9時間が11日。と計算しても何の問題も
無いのにNASHVILLEではここから、昼御飯の時間、休憩した
時間などを引いてくれるのです。(BRENTだけなのかも
しれませんが、早くて安いのがどうやら1番のようです。)
僕に精算表を見せて一言「端数が何$か出ましたが、
レコーディング中に僕の使用の電話が掛って来たのでその分
として引いておきます。」この辺りの考え方は流石亜米利加、
仕事した分しかお金は貰わないのです。
(それが当たり前なんやけどなぁ〜。)最小限の予算で、と
言ってもそこそこ掛るレコーディング。正直、日本で創るのと
金額的には同じくらいでもこの早さ、確実性、音の良さ、
コンディションの創りやすさ、何より唄うための精神的な部分
を考えたら「次もNASHVILLEで」と思わせてくれます。
BRENT本当にありがとう!お世話になりました。
可愛い奥さんにもよろしく。また逢いましょう。
さぁ、明日はこちらに来てから2回目のお休み。
仕事もすんだし、思う存分NASHVILLEを楽しまんと明後日は
日本に向けて出発ですから。

 

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ミキサーはこんなにコンパクト

 
ここでCD-Rが焼けます。コンピュ−タ−本体
決して油の手では触らないように。


ラック


スピーカーはマッキン

 


外観は小屋に等しい