中村多恵子・中村正公

2000年秋、
母に誘われて八尾の町に行った

細く長い静かな町が
年に一度賑わう
その日に・・・。

夕闇が迫る頃、町並みに明かりが灯り
胡弓が心に染みいるように流れる

なぜか懐かしく、なぜか恋しい

踊る男と女。

そこに静かに燃える気持ちを
抑えきれない僕がいた
知らぬ間に祭りに溶け込んでいった

もう一度あの町へ帰りたい

そう思いながらいつの間にか
『風の盆に恋をして』を書き終えていた

 

 

風の盆を恋して   詞 ・曲 北村 謙

 

黄金の中を汽車は走る

海に向かって秋に向かって

指おり数えて二百十日

夏が終われば雲が流れる

この町が風に包まれこの町に風が踊る

人達は風を恐れ風を敬い風になる

 

静かに家並明りにうかび

オワラの唄に鼓弓が染みる

稲穂よ実れ頭を垂れろ

男よ踊れ女よ踊れ

この町が風に包まれこの町に風が踊る

人達は風を恐れ風を敬い風になる

 

実りを願い時を忘れる

思いは一つ風止んでおくれ

長く厳しい冬はこれから

町を曳山が駆け抜けるまで

この町が風に包まれこの町に風が踊る

人達は風を恐れ風を敬い風になる

 UM~夜が明けるまで

 

「この曲は今まで歌われたどの曲よりも『風の盆』をよく表現している」
                    
八尾町おわら資料館
                          伯 育男 館長の手紙より