謙さんのNASHVILLE紀行11  

今朝もいつもと同じように体調はmighty fineであります。
こっちに着いてからは必要以上に体調に気を付けていたのが
良かったみたいです。(レコーディングの時はいつもそう
ですが)「NASHVILLEは空気が乾燥してますよ」と
聞かされていたので、うがい薬や風邪薬をテンコ盛り持って
きたのですがそれも使わずじまい。なんか良かったような
重たかったような。
10時にスタジオ入り。なんか今日は淋しい気がします。
昨日までのミュージシャン達の姿はなく僕と宮崎とBRENTだけ、
いつものレコーデイングのように気楽なスタジオです。
まずは気分の良いところから『仲間たちよ』
『風が吹いている』『また逢いましょう』と順調な仕上がり、
何よりも僕の声がいままで聴いたことのない様な『ええ声〜』
です。「BRENT、無茶苦茶ええ声に録れてるねぇ!」
「えっ?」「僕はこんな心地よい声を出してる北村 謙を
聴いたことがない。」「あんた、おかしなこと言うねぇ。」
「なんで?」「今聴いてるのは、あんたの声をそのまま
録っただけで、なんの手も加えてないのよ。」目から
ウロコです。これまで聴いていた自分の声は、余りにも
工夫を凝らし過ぎていたと言うことなのでしょう。
けど何も手を加えない音を聞かせてくれるエンジニアが
居なかったのは何故なのでしょう。
ここで余談ではありますが僕の歌い方が最近メキメキと
変わってきています。これまでNASHVILLE SOUNDに
近付ける為に張りのある声(思いっきり)を出していた
のですが、今回の録音でその秘密がレコーディングに
あることを知り、出来る限り力を抜いて軽く歌うように
しているのです。そうすると唄の表情が豊かになってきた
のです。この部分も『今まで何してたんやろう。』です。
3曲録り終わって「NASHVILLEのシンガーはどのくらいで
歌入れを済ますの?」とBRENTに聞くと「だいたい早い人で
1曲につき3回〜4回歌ってOKを出すよ。それで1日に3曲
くらい出来上がる。」「なるほど。そしたら今日の僕は
早かったの?」「そう、僕はもっと掛るのかと思っていたから、
早くてびっくりしたよ。」なぁんて誉めてもらいました。
さあ今日はこの後7時からSTATION INNへ行って演奏です。
BRENTもキャシーのバンドでマンドリンを弾くので、6:30で
スタジオは切り上げちょっとわくわくしながらDOWNTOWNへ
急ぎました。STATION INNの外見はブロックを積みあげた
倉庫風の建物。中へ入ると木造りのキャビン風のお店です。
広さはNASHVILLEでは小さい店なのでしょうが
150坪はあるお店。お客様も200〜250人は入れる
でしょう。かなり大きい小さな店です。今日のライブチャージ
8ドルを払って店に入ると最初の印象は『暗い店やなぁ。』
それもそのはず天井には照明はなく、店内照明と言えるものは
カウンターの中の裸電球と壁に付いている『BUD』や
『COCA COLA』の電飾看板のみ。「これでも営業
できるんや。」見たいナ感じでした。
キャシーに呼ばれて楽屋に行くとそこにはBRENTと彼の
バンドのBanjo弾きRICHARD BAILEY,そしてTogetherの
Basistのマーキーサンダース達がいました。
昨日出逢っているのでRICHARDは気さくに声を
かけてくれました。「LONG NECK Banjoは珍しいね。」
「弾いてみまっか?」「僕は手が脂性なので、ベチャベチャ
になるし止めと来ますわ。」「かまへんし弾いてみたら。」
「ええか?」と入って弾きながら細かい仕様を聞きたがる
ところはどこの国のBanjo弾きでも同じでした。「お礼に」
と見せてくれたのが彼のGIBSON RB-3。
これはお祖父さんが使っていたものを父親が譲り受け、
それをまた今自分が使っていると言う完全オリジナルのもの。
弾こうとPICKを近付けただけで『うぉ〜ん』唸りを上げて
いるようなBanjoでこれまで僕が弾いた中では恐らく最高の
楽器であったと思います。「素晴らしい!!」と言って
そのBanjoを僕のケースに入れようとしたら「そのケースは
君のケースやんか!」と目ざとい人でありました。
(あたりまえか。)
そうこうするうちにライブが始まり店内は盛り上がりを
見せてきました。中盤に差し掛かったときキャシーが
「今日は日本から私の友人が来てくれています。」の紹介。
いよいよNASHVILLEで演奏ができる瞬間がやってきました。

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STATION INNの暗い店内


キャシーキャボラネエサン


どこでも楽屋は同じ雰囲気