謙さんのNASHVILLE紀行6   

今日の残りは『夢見た街』『桜SAKURA』の2曲。BYRON と
BILLのスケジュールもあり二人が同時入っている曲は
今日中に録音ってしまうことになっている。『夢見た街』
のDrumsのendingのフレーズを決めるためにBOBの
ブースへ入った。辿々しい英語で「あのね、最後の
ところはね、僕ね、3連好きです。」を必死に伝える。
「チョット叩いてみて。」「イヤ、僕は叩けへん。」
「ほらほら。」と椅子に座らされて「シャーない、言葉で
わからんにゃったら叩いてでも判るようにしたる。」と
恥ずかしくもなく叩いて説明。なんとか判って貰えました。
「口で言うより手のほうが早い。」
BOBの叩く音量は僕らの言う『思いっきり』で、仇のよう
に叩くものですから「今のフレーズ叩いてみるからKENは
subへ行って聞いて下さい、僕はここでヘッドホーンをしているから大丈夫だけど耳痛いよ。」「なんでそんな大っきい音で叩くの?」BOB曰く「最大の音量で叩いておけばこの楽器の
持っている本来の音が全て録音される、その総ての音の中から
どの音を使うかをBRENTが考えるのだ。」と。成る程、
そう言えば他の人も結構大きな音で弾いてはる。又一つ勉強になりました。けど僕ら日本人はあんたらみたいに軽う叩いて
ソンナゴッツイ音だせまへんデ〜。ここにも我々と
アメリカ人の音の違いがあるようです。
これからのミュージシャンは、まず体力作りをして腕っぷしを
鍛えなくてはなりません。なんせ彼等の言う「そんなに力を
入れて無い。」は僕らの言う130%位なのですから。
『夢見た街』は2回録音。1回目は細かいアドリブの
打ち合わせを兼ねてスタート。それもBOBが曲中で
スティックを折ったので1回目は途中で終わり。折れた
途端に「Shit !」と本気で怒ってスティックを投げ付ける。
それが前のガラスにぶつけるものだから、僕のほうに向かって
飛んできたかのように錯覚する「あぁびっくりした。」
「ごめんごめん」とBOB。終始にこやかなBOBではあるが、
この人は怒らしたら恐いぞと、気にしてないふりの僕
でした。『桜SAKURA』はちょっと厄介でした。日本の
エッセンスはなかなか理解しにくいらしく、BYRONも
「これで良いのか?」を連発。最終的にdouble stopで弾いて
もらったことで全員納得の音。BILLは一生懸命弾いてくれた
のですが、最終判断で僕のBanjoのほうがこの曲には
合っていると「Fire(クビ)」にならはりました。
BILLはこの事を知りません。「このalbum出来たら必ず
1枚送って下さいね。」と言うてはったのに
「知〜らんっと。」そんなこんなしているスタジオにDAVID
GRIARが訪ねて来てくれました。『ごっつい歯の入れ歯』を
付けて。吃驚しました。
今日はBYRON と BILLが揃う唯一の日。7時に終わってから
「御飯を一緒にどうですか?」「もちろん。」
「よし!宮崎ナンカ旨いもん喰いにいこ!」「任して下さい。
美味しいイタリアンレストランを知ってます。」
「そこ行こ!そやけどおまえはNASHVILLEの人間か?」と
思うほど宮崎はNASHVILLEをよく知っているのでした。

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「ヨッシャ〜!」 

 

 

 

 DAVIDと

 

 佇むBYRON

静かなBILL