謙さんのNASHVILLE紀行9  

無事レコーディングも終わり、今夜はBILLM KEITHと過ごす最後の夜。一応、
大御所との作業が終わったので僕らもホッと胸をなで下ろしたところ。
「BILLさん今晩は何を食べましょう?」「ソウヤネぇ。日本食でも
食べに行ってみますか?KENさん」「米国で日本食?」
「そう!僕は日本酒も好きやから。」「ほな!」
と言うことで入ったのはブロードウェイ近くにある『一番』僕はどちらかと言うと
『郷にいっては郷に従え』を基本としているので、この日本食はあまり賛成は出来
なかったのですが、なぜかBILLが物凄く押したので郷の人に従ったまでです。
店内は結構お客さんも居て賑わっていました。BILLは早速、燗酒と焼き鳥を注文。
僕はBEERと塩鯖と御飯。宮崎は巻寿司を。どれをとっても日本の三流店の
それのほうがマシなものばかり。「そやし、止めよて言うたやん!」けどBILLは
御機嫌さんで一杯やりながら、「KEN,これ美味しいェ、焼き鳥食べよし。」と
勧めてくれる。世界広しと言えど、BILLKEITHに焼き鳥をおごって貰ったのは僕くらい
だろう。今の僕にとっては、彼のフィンガーピックを貰うより価値あることかも知れない。
しかし、まずい。
宮崎のリクエストで、BILL MONROEの面白話しを聞かせてもらう。
最後には例に寄って大声で笑う。さしずめ仕事が終わって解放された定年退職直後の
オッサンである。けど面白い話ばかり。一つ取り上げると「山の上で行なわれたFes.が
終わってKENNY BAKERが月を見ていた。そこへMONROEがやってきたので
KENNYはこう言った『Mr.MONROE今日は月が大きく見えますよ』するとMONROEが
すかさず答えたそうだ『大きく見えるのは当たり前だ。だってここは山の上で
いつもより月に近いじゃないか!』わははははは!!」こんな有り様。一瞬日本に
帰ってきたかのように錯覚している僕が居た。しかし勘定はすこぶる高かった。
教訓、NASHVILLEではNASHVILLEの料理を食え!
すなわち『郷にいっては郷に従え』ホテルに帰る頃にはたった1本のBEERでふらふら
になった未だ時差ボケの僕が居ました。
翌日、いよいよBILLとのお別れ。空港まで送って行き、握手をしながら
「僕は今回再び貴方とであって、26年前に出逢った時とはまた違ったBILL KEITHを
感じている。貴方とのこの思い出は一生大事にして行きたい。」
精一杯の英語でそう伝えた。

あなたが、英訳した『桜SAKURA』の歌詞を「いい唄なので貰って帰っていいか?」
と言って下さったこと。そして宮崎に伝えて下さった「スタジオでKEN の歌っている
姿を見て、26年前に京都で彼が歌った『Darling Alalee』を思い出した。」と
その時歌った曲名まで覚えていて下さった事。何より嬉しかったです。日本に帰って
家族の前でその話をして声をあげて泣きましたヨ。
大好きなBanjo playerなので元気で居て欲しい。お身体大切にして下さい。
本当に有難う、数々の御無礼許して下さい。THANK YOU SIR.また逢いましょう。

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OTUKARESAMADESITA